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【読書メモ】インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針

インタフェースデザイン/Webデザイン分野で評価の高めな本ということで、インタフェースデザインの心理学を読みました。  
続編として 続・インタフェースデザインの心理学、派生本として インタフェースデザインの実践教室 があり、「〜の心理学」は Susan Weinschenk さんという行動心理学者(behavioral psychologist)の方が書いているものです。

インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針

インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針

 
概要

UI/UX関連の本ではありますが、筆者の得意分野的に一般的な心理学や行動学からそれを踏まえた上でインターフェイスやUXデザインをするにはこういうアプローチをしたほうがいいですよ、という流れのポイントが10章100ポイントでまとめられています。

1章の「人はどう見るのか」から、「人はどう〜するのか」形式で「読む」「記憶する」「考える」「注目する」「ヤル気になる」のかと進んでいきます。 前半は実作業でデザインする人にはより実践に結びやすい内容と思います。

後半は心理学的な感じ方の話がメインで、社会的な結びつき、感情、間違えや決断に関しての章が続いていきます。

ポイント

印象に残った点を何点か引用します。

002 対象の「あらまし」をつかむのは中心視野より周辺視野の役目

見えてはいないものの直視はしていない視野を周辺視野というが、対象の全体像を掴む際は中心視野より周辺視野を使ってさまざまな情報を補完することが多い。

006 人は過去の経験と予想に基づいて画面を見る

左から右に読む言語を主言語としている人であれば、コンピュータの画面も左から右に見る傾向がある。  
とはいえ、ブラウザの左上の角(ロゴやナビゲーション)から見始める人はほぼいなく、端は避けて画面の中の方をみる傾向がある。

011 男性の9%、女性の0.5%が色覚異常

これはよく言われていることですがメモとして

013 大文字がもともと読みにくいものであるという説は誤りである

(英語の場合) 単に読み慣れていないだけで小文字より大文字のほうが読みづらいということはない。  
人は文章を読むとき、短い時間の静止を挟んで(これを「固視」という)1度に約7〜9文字分ジャンプする(これを「サッカード」という)を繰り返す。  
サッカードの移動で実際に知覚している範囲はその2倍で、これは周辺視野を利用している。

016 文字の大きさは理解度を左右する

エックスハイトが大きいと文字は大きく見える  
同じ font-size: でもフォントファミリーでサイズが違うように見えてしまうのはこれが要因ぽいですね

020 一度に覚えられるのは4つだけ

いくつかの情報のまとまり(チャンク)に分けてグループ化することで3つあるいは4つの数字のチャンクを覚えることができる場合がある。  
例)電話番号 090-1234-5678

024 記憶は思い出すたびに再構築される

記憶は思い出すたびに再構築される。また後になって起こった出来事が、前にあった出来事の記憶を変えてしまうことがある。

028 心的な処理には難しいものとやさしいものがある

フィッツの法則 を使えば科学的な基準を元にボタンの適切な大きさを決めることができる。 速さ、正確さ、距離の間には関係があるということ  
参考: フィッツの法則

029 人は30%の時間はぼんやりしている

ある作業を行っているのに、いつの間にか作業とは関係のないことを考えている状態 = マインドワンダリング

031 人はシステムを使うときメンタルモデルを作る

Apple 製品のインターフェイスiPhone / iPad を使ったことがある人はその製品を使って何かしらの作業をすることの「メンタルモデル」を持つ。

038 人は「フロー状態」に入る

何もかも忘れて没頭してしまい、他のすべてから離れ、時間の感覚も変わり、自分が何者でどこにいるのかも忘れてしまう状態をフロー状態という。 ゾーンと同じぽいですね。 
自分が好きなゾーンに入る方法は
『ゾーン』に入る方法

039 文化は考え方に影響する

(牛と背景の写真) 西洋人に写真を見せると、前景にある中心的なものや目立つものに注目しますが、東洋人は写真の状況や背景に注目する傾向があります。

飛ばしすぎて前半だけになってしまいましたが、ざっくり大事そうで今後も覚えておきたいことはこんな感じです。

良かった点

  • 心理学というものにほぼ触れた経験がなかったので、これまでなんとなく断片的に聞いたことのあった内容を深く知ることができ、人の本質的な習性や欲求的なところからくるものを仕事に落とし込むことに対して興味が持てた。 ただその落とし込み方が一番むずかしい気もした。
  • 0 → 100 を作る際に参考になるというよりは、80あるものがなぜそうなっているのか、100にするためにはどうするべきかという所で役立ちそうなことが多かった。

惜しかった点

  • インターフェイスやUXデザインをするにはこういうアプローチをしたほうがいいですよ」という点はだいたい各ポイントに書かれているのですが、それの量があまりないこと。
  • サンプルに掲載される図が古めなこと。

まとめ

デザインの実作業をする人にも向いている本だと思いますが、より向いているのはより上流のディレクション業務やマーケティング的な業務する人にも向いている内容と思いました。

なかなか実務でどう使えるかは難しいかもしれませんが、頭にほんのり残っているものから使っていこうと思います。